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2015年01月18日

世間むかしいまし物語「山と獣」

このお話はフィクションです
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世間むかしいまし物語
「山と獣」

  むかしむかしなのか
いまのことなのか
よくわからない時のお話

 あるところに山がありました
山と言ってもそれ程高くなく
どちらかといえば丘といった方がいいくらい
なだらかで穏やかな山でしか

 山の上には沢山の実のなる木があって
沢山の獣たちの食べ物になっていました

 山は自分の上で
木に実がたくさんなって
それを食べて獣たちが生きているのを
とても嬉しく思っていました

 ある時突然
山は削られ始めました
山の上に生えていた木はどんどん切り倒され
あっという間に丸坊主になってしまいました

 隠れる場所を奪われ
食べるものを奪われ
獣たちは四方に離れて行きました

 丸坊主にされ削られ
平らに均された山の上には
どんどんと家が建って人が住み始めました
山は何も言うことが出来ないので
ただただ静かにそれらを受け入れました

 やがて家が立ち並び
大勢の人が住み始めると
とても賑やかになりました
しかし山は感じていました
木があって獣がいた時とは
賑やかさの質がちがうなぁ

木があって獣がいた時よりも
聞こえる音はずっと大きいけれども
生き物の音とは違ってしっくりときません
それでも山は受け入れました
寂しく思いながらも
受け入れました



 一方
人に山を追われた獣たちは
食べるものを探して回りました
探して回ったところ
古くから人が住んでいて
人が食べるものを作っている田畑を見つけ
それらを食べて生き延びました
人が食べる物は栄養がとてもあって
獣たちはとても喜び
沢山子供を作って増えていきました

 古くから住んでいた人達は困りました
なんとか獣を近づけないように頑張り
なんとか自分達の食べるものを作りました
しかし
増えた獣たちが食べる量がとても多く
獣たちが来る前のようには
食べるものを作ることが出来なくなりました
仕方が無いので
今まで他のものと交換していた分を
自分達で食べました



 山を削って住み始めた人達は
食べものと交換する色々な物を作っていました
キラキラした飾りの付いた服
ピカピカと光る靴
賑やかな歌と踊り
等などそれはそれは面白いものでした

 しかしあるとき気が付きました
こんなに綺麗で面白いものなのに
最近欲しがる人が少なくなったなぁ
と…。



 それから何年かした時
とうとう誰も
綺麗で面白いものと食べ物を
交換してくれる人が物凄く少なくなり
いつもお腹を減らしているようになりました

 その人達はぺこぺこのお腹を抱えて
こんなに綺麗で面白いものを
どうして皆欲しがらなくなったのかなぁ…
と思い続けましたとさ

ーーーーー
このお話はフィクションです

posted by 出雲一寸 at 03:38| フィクション、創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年01月12日

世間むかしいまし物語「兄弟げんか」

このお話はフィクションです
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世間むかしいまし物語

兄弟げんか

 むかしむかしなのか
いまのことなのか
よくわからない時のお話

 あるところに兄弟がおりました
兄弟はとても賢く
村の人達も一目置いておりました

 村にはとても美しい女性がいました
兄弟たちは全員その女性が好きでした

「俺が一番彼女のことを好きだ」
「いや、俺だ」
「違う、俺のほうが好きだ」
兄弟たちは彼女への思いを言い合い
けんかをするようになりました

 最初は口で言い合っていただけでした
しかしどんどんけんかは過激になっていき
その内お互いどれだけのことが出来るか
競いあうようになりました

時には彼女のためといい
自分の身体を傷つけ
時には彼女のためと言い
他の人も傷つけました

兄弟を慕っていた人達は
それぞれの兄弟の味方をし
それぞれ傷つけ合うようになりました

兄弟や村の人達は争いあい
皆ボロボロになっていきました

そして疲れて皆一旦休む事にしたとき
美しい女性の姿は村にありませんでした

兄弟は他の村の人達と協力し
女性の行方を追いましたが
決して見つかることはありませんでしたとさ

ーーーーー
このお話はフィクションです
posted by 出雲一寸 at 21:03| フィクション、創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月08日

20140508「終わりゆく記憶」

20140508

「終わりゆく記憶」

 忘れてしまうまえに、ここに記す。

 第一工程
軸回転 380/分
胴回転 38/分
流量  85〜90
水位  1/4
投入量 48〜50
ただし体積によって重さが非常に変わるので、
プールの7から8割になるように、目視で決定
すること。
 また、中間期はフタを完全に閉めて行う。
手でこすって表面がめくれる程度を基準として、
調節する。

ーーーーー

 第二工程
    軸回転 風量 熱風温度 時間
前工程  42      9     100     15
後工程  36      4      80     15

以上は一期のもの、二期は軸回転・風量は
ひとつずつ上げ、温度は後だけ5度上げる。
時間は前後一分ずつ短くする。
 センサー設定は35度。
 取り出しのタイミングは、握って手に付かなく
なる前後を目安とする。設定の時間内にこの
程度まで進まなければ、前工程の時間を伸ばし
後工程の時間を縮める。進みすぎる場合は
反対に調整する。
ーーーーー

 第三工程
軸回転 34
風量  75パーセント
熱風  70〜80になるように調節
シングルで一定

 第二工程の時間と同じようになるのがよい
が、ここで調節するのは難しい。第二工程の
取り出しタイミングを調節することで、時間が
合うようにする。
 取り出しタイミングは、表面は乾いているが
こすれば水分があるという感じの手触りの時。
ーーーーー

 第四工程
時間 15〜20
負荷 一期 円錐の直上
   二期 最大
 中間期も負荷は最大。
ここでレールが水平よりも上がるようならば、
投入量が多すぎるので減らすこと。
 この後の工程の進み具合や、ここまでの工
程の具合で流れが順調でないのならば、この
工程で時間調整をかけるといい。
上記の時間くらいかけたほうがいいが、なくても
仕上がりはする。
ーーーーー

 第五工程
回転 45
風量 一期4 中間期6 二期5
熱風 45〜55度
取り出しセンサー 1.8目盛り

 取り出しにかかる時間は、ここまでの工程の
具合で大きく変わるため、はっきりと決めるのは
難しい。
ここで余りにも早く出てしまうようならば、ここ
以前の工程で具合が進み過ぎ、時間がかかり
すぎるのであれば状態が進んでいないのに
取り出している。
第二工程を30分で取り出すのであるならば、
第四、第五工程合わせて30分になる程度が
良い。この時間調整を、第四工程でするのも
いいし、それ以前の取り出しタイミングを変える
かで合わせる。
 この工程の取り出しタイミングは、
握力45から50で6から7割程度の力で握って、
復元してくるぐらいの状態。次の工程に長く
時間をかけたいのであれば、復元の程度が
遅いうちに取り出す。
ーーーーー

 第六工程
釜温度 90〜95
往復  48/分
負荷  引き4 戻り2

投入後、負荷の乗っている軸の直上から少し
だけ負荷をかける。よりよく仕上げるのならば、
負荷のタイミングを増やす。戻りは小振りで。
 取り出しタイミングは、釜で持てず両脇に
流れるようになってきたら。あまり長い時間を
かけすぎると、表面が白けるので程々に。
大体40〜50分程度になるように、ここまでの
工程で調節する。
 ここで余りにも粉砕されているのなら、第一
工程の具合が強すぎるので、気をつける。
ーーーーー

 最終工程
時間 30分
熱風 一期 85度、 中間期・二期 90度

 仕上がりの好みによるが、保存性を高めた
ければこの程度時間をかける。
ーーーーー

 いつか、誰かの役に立つことを願う。


posted by 出雲一寸 at 09:38| フィクション、創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月23日

20120323口伝150イングリモングリイトスギ

20120323口伝150イングリモングリイトスギ

この文章はフィクションです

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝150」

イングリモングリイトスギ

 日本の広島県で開発された園芸用植物糸杉の一品種である。
樹高は最大3m程度であまり大きくなりすぎず、
生垣などに具合がよく人気の品種である。

 糸杉と言えば大体まっすぐに育ち高く細い樹形が持ち味だが、
この品種はその特性を真っ向から否定するような形質である。
なぜかはわからないけれど幹が左右に曲がりながら育ち、
くねくねと蛇行するのである。
名前のイングリモングリとは広島の言葉でくねくねの意、
流通する商品名としてはイングリモングリシスギで売られている。

 この植物を開発した育種業者は、
はじめは糸杉の葉の色のバリエーションを増やそうと、
新品種開発に取り組んでいたのだそうである。
 そこで突然変異で表れたのがこの品種、
苗木一年目からその細い幹をくねくね蛇行させており、
殺菌などに使った農薬で薬害が出たのかと思われたそうである。
その時の育成担当者が普通の人なら、
さっさと引きぬいて廃棄されていたのだろうけれど、
洒落のわかる人物だったのが幸いした。
 一本だけだったこのくねくねした苗を育て、
挿し木でどんどん増やして商品にまでしてしまったのである。

 初めて園芸店の店先に並べられたときは衝撃だったそうだ。
細くてまっすぐな糸杉の苗のコーナーに、
一区画だけ変な木が纏まっておいてあるのだから、
目立たないはずがなくあっというまに売り切れたそうである。
 こうしてその奇妙さ故に園芸情報誌などにも度々取り上げられ、
苗の生産が追いつかなくなる程だったそうだ。

 こうして生垣によく利用されるようになると、
ある問題が浮上してきたのである。
左右にくねくねと曲がりながら育つその幹の形をよく見るために、
葉を手入れするときはどうしてもうちわ状にならざるを得ない。
その為必然的に風に弱くなってしまうのである。
 根冠は放射状に広がっているので抜けてしまうことは稀だが、
風の進行方向と直角にぶつかってしまうと根元から折れる。
近くを歩いていると木製の壁が倒れてくるようで、
非常に危険である。
 この様な事態に陥らないためにも、
最近は販売時に植え付ける場所の、
風のとおり具合を注意するようにされたりの対策が取られている。
また栽培上の注意としては、
倒れた時に周りも物を破壊しない高さに剪定する様に、
苗木に注意書きが添えられるそうである。

 偶然とはいえ人気の品種を作り出すことに成功したこの会社、
次は風に強い変わった品種を創りだそうとしているそうである。
次の目標は螺旋状に幹が伸びる糸杉を育種するとのこと、
ドリルは男のロマンといったところであろうか、
楽しみである。

ーーーーー

この文章はフィクションです
posted by 出雲一寸 at 20:56| フィクション、創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月19日

20120318口伝148ヒソヒソモス

20120318口伝148ヒソヒソモス

この文章はフィクションです

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝148」

ヒソヒソモス

 かつては日本中に棲息していたガの一種である。
体長8cm程度の中型のガで、
外見上はこれといって特徴のない虫である。

 名前の由来はこの虫の聴覚の鋭さからくる、
民間療法の材料としての利用の歴史から名付けられたそうである。
昔からこの虫が音に敏感なことはよく知られていた、
何故なら江戸時代に夏の花火が盛んな頃に、
大量にこの虫が死んでしまうのを目撃されていたところから、
学者たちが原因を推測して突き止めていたのである。
 それを聞いた人達の間で伝言ゲーム状態になり、
いつしかこのガの乾燥粉末を煎じて飲めば耳が良くなるとされ、
民間療法として定着したそうである。
もともとはひそひそ話が離れたところからでも聞こえるとされ、
ヒソヒソ虫と呼ばれていたことが古文献に書かれている。
現在の名前になったのは明治に入り欧化政策が進められ、
その時西洋かぶれの人達にガの部分が英語に言い換えられたと、
推測された説が一般的である。

 そしてこの利用が原因となって、
現在のこの昆虫の状況がもたらされてしまったのである。
本当に効いていようがいまいが、
耳が遠くなってしまった人達にとってはこの民間療法は魅力的、
わらにもすがる思いで手に入れようとする人も多かったらしい。
信じて飲めば起こるはずのない効果が起こってしまう、
プラシーボ効果のせいで信憑性も高まってしまった。
 そうなると起こってくるのが価格の高騰と乱獲である、
日本中でこのガが採集され薬として流通されるようになった。
さらに海外までこの話は飛び火し、
多数の密猟者を招き入れる結果と相成ってしまったのである。

 このガの採集の容易さも問題を深くしてしまった、
爆竹を鳴らしさえすれば簡単に捕れてしまうのである。
鳴らした半径5m以内で失神し地面に落ちる、
10mまでの範囲で一時的に飛行能力が低下し、
よろよろと飛んで逃げようとするので識別もしやすい。
2m以内なら即絶命してしまうほど音に敏感なのである。
 現代ならそこかしこで爆竹を鳴らしまくっていたら、
近隣住民から通報されるところだがそこは昔のこと、
ガを集めていようが注意などされるはずもなく、
田舎ではかえって害虫駆除と思われてありがたがられたのでは?
 そんなこんなで結局野生種がほぼ絶滅するまで乱獲され、
10年前に確認されたのを最後に野生種はその姿を消したのである。
 しかし良い事か悪い事かわからないが、
取れる量が減ってきた頃から薬品会社は養殖を始めていた。
その為現在でもこのガの粉末が利用されているのである。

 現在では科学的に成分分析されて、
悪化した聴覚の改善には関係が無いとされてはいるのであるが、
それでもこのガの粉末の売れ行きが衰えることはない。
たとえプラシーボ効果であったとしても、
服用した人達のおおよそ半数が症状の改善を認めているそうで、
この事実は動かしようがないものである。
 これに関しては一つの仮説が立てられており、
心因性の一時的聴覚の悪化に対して改善作用が出ているのでは、
との見方がされてはいるがいまだ確証はないそうである。

 最近養殖されたこのガを自然に少しずつ返す試みがされている、
しかしこれがなかなか放す地域の理解が得にくく、
いまいち進展が芳しくないそうである。
 見た目が綺麗なちょうちょならねぇとはその地域の人の談、
薬としては欲しいけれど側で増えて欲しくはないようである。

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この文章はフィクションです
posted by 出雲一寸 at 21:52| フィクション、創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月18日

20120317口伝147モナークヨーン

20120317口伝147モナークヨーン

この文章はフィクションです

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝147」

モナークヨーン

 大変大ぶりな花を咲かせるユリ科の園芸植物である。
花弁が全て一体となっているタイプの花で、
他のユリのように花弁に切り込みが入っていくことはなく、
基本的には朝顔のような形を思い浮かべれば分かりやすい。
もちろん改良された品種は花弁の形も様々で、
よく知るユリの花形のものも多数存在するのである。
 確認されている記録としては、
花の直径が30cmを超えたものもあり、
咲き誇る様子の迫力などからこの名が付けられたそうである。

 この花の特徴は先に述べたように、
何よりもその威風堂々たる花の大きさにある。
そしてどのような他の花も寄せ付けないような、
豪華絢爛な花の色もこの花の持ち味である。
 どっしりと大きく構えた花に華やかな色合い、
まさに君主の名にふさわしい植物だと言えるのではないだろうか。

 その華やかさから園芸品種としても大変人気で、
庭に植えてもよし鉢に植えてもよし、
草勢も強く育てるだけならば特に難しくない所も人気である。
 園芸品種として登録されている数は105種、
比較的新しい植物なのでまだまだこれから楽しみな植物で、
花色と花型のバリエーションがどんどん開発されている所である。
ただし市場商品として出回るものは切花だけである。

 しかし何事も全てうまく行くわけではないもので、
この植物にはなんとも難儀な特色もあるのである。
 まず一つ育種家泣かせの特徴として、
自家受粉しないというところである。
せっかく新しい色や形が表れたとしても、
次の世代にとっておいた種からは、
未だに一度も同じ物が出来た記録がないのである。
 ならば栄養繁殖はどうだろうか?
当然植物栽培に関わる人ならば考えることだと思う。
しかし残念なことにこの選択肢も良い結果を得ることは出来ない、
出来た記録はない。
ユリ科なのだから当然百合根が形成されるのだが、
どうしても全く同じものが出来ないのである。
茎を挿し木しても結果は同じであったそうだ。

 どうしてこの様な現象が起きるのだろうかと、
詳しく調査がされたところ、
土の極めて微妙な成分変化が花の形成に影響を与えるようだ。
 この為園芸品種として出回っているものは、
完全管理された水耕栽培によって品種を保っているそうである。
ただそれでもある一定の量は失敗が出るらしく、
栽培に関してはギャンブル性の高い植物だといえる。

 さらにギャンブル性を高めている特徴として、
今現在白色系の花が皆無であるという所である。
もし白に近い色や純白のこの花が開発されたならば、
想像を絶する収益がもたらされるのは自明なので、
育種家にとって大変ホットな植物である。

 しかし園芸を楽しむ目的からすれば手軽で、
一度植えてしまえば勝手に毎年違う形の花が咲き、
おまけに色まで毎年違うのだから、
気楽に眺めて楽しめる人には人気である。
 どうしようもない事に対しては、
眺めて楽しむくらいの気持ちで望むのも、
良いものかも知れないのである

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この文章はフィクションです
posted by 出雲一寸 at 00:17| フィクション、創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月16日

20120316口伝146モモンガコブラ

20120316口伝146モモンガコブラ

この文章はフィクションです

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝146」

モモンガコブラ

 体長3m前後と毒蛇の中ではかなり大型の部類に入る一種である。
 熱帯雨林に棲息し、
不思議なことに大陸が違っていてもほぼ同じ種が生息している。
一番数多く生息するのは東南アジア地域の熱帯雨林だが、
その他にも南米のジャングルやアフリカの孤島などにもおり、
その生息数も決して少ないとは言えないのである。

 何故この様な生息分布になったかについては、
諸説紛々有るのだが、
現在ほぼ確実な説として大航海時代の影響が挙げられている。
 この蛇の特徴によって船に乗り込んでしまい、
一緒に世界中に移っていってしまったとされているのである。

 コブラと言えば思い出される首の周りの特徴的なフードだが、
この種の特徴は何よりもこの部分に表れているのである。
フードが体の末端まで付いており、
広げた幅は20cmにもなるのである。
 そしてこのフードを広げて樹上から滑空するのであるが、
上手く風をつかむことが出来れば100m程飛ぶことが出来る。
この滑空するところから名付けられているのである。

 先に述べた不思議な生息分布の原因は、
こうして陸地から離れた船にも風に乗って飛んできて、
そのまま運ばれていった個体が行き先に住み着いたようである。
もちろん船に乗りたくて飛んできたわけではなく、
獲物を追って飛んだ結果船に着地してしまったのである。
 この蛇は幼体の頃は地面近くのカエルなどを餌とするが、
成体になると滑空しながら鳥を獲物として捕らえるようになる。
船の甲板のゴミなどを目当てに鳥が集まっている所を、
鳴き声で感知して跳びかかるようである。

 また滑空に習熟した個体の中からは、
変わった飛び方をするものが現れることも多いようである。
フードを広げたままとぐろを巻いて、
まるでパラシュートのようにふわふわと降下するそうである。
 頭の上から毒蛇がゆっくりと降りてくるとは、
想像しただけで恐ろしいことだが、
自分の口の大きさ以上の獲物を襲うことは殆どない、
産卵期などの気の立っている時期でなければだが。

 それに人間が襲われたとしても実はそれほど危険ではなく、
成体に噛まれても命に別状が出るのは、
子供とアレルギーのある人だけである。
 滑空に特化した体の作りとなっているので、
同じ大きさの蛇に比べて締め付ける力が弱く、
大人なら十分に振りほどくことが出来るのである。
 毒の方はどうかというと、
こちらも滑空するために体を軽量化した結果、
毒腺も極めて小さいものになっているのである。
毒による害よりも傷口からの感染症に気をつけたほうが良い。
 これらのことから仕留められる獲物も限られており、
口に入り尚且つ少量の毒で仕留めることの出来る、
小さい鳥やカエルなどとなっているのである。

 こうして小鳥を襲いに船に乗ったこの蛇は、
船乗りたちの格好の食料とされたのではと私は思う。
屈強な船乗りたちのことだから、
軽量化され骨と皮の多いこの蛇でも平気で食べていた気がする。
 私も研究用に繁殖されているものを手に入れ食べてみたのだが、
正直肉は美味しいものではなかった。
痩せていてあまり使われていないため旨みに劣るのである。
しかし骨は大変美味であった、
細くて細かい骨なので少し強めに素焼きにすれば、
パリパリと香ばしい骨せんべいとして美味しくいただける。
これを食べていた船乗りたちは、
きっと骨太揃いだったろうと思うのである。

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この文章はフィクションです。
posted by 出雲一寸 at 23:54| フィクション、創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月25日

20120225口伝145「コミロン・コルバータ」

20120225口伝145「コミロン・コルバータ」

この文章はフィクションです

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝145」

コミロン・コルバータ

 メキシコにのみ生息する、
体長1m前後の中型の蛇の一種である。
体の表面の鱗がその他の蛇に比べてかなり硬度が高く、
サボテンの刺も気にせずに巻き付くことが出来、
樹上にいることが多いのである。
 体色は砂漠で目立たないようにカモフラージュされているが、
サボテンに登るときは夜間だけなので問題ないようである。

 この蛇の特色は獲物を狩る時に現れる、
自分と同等以上の大きさの哺乳類だけを狙い、
狙うのは必ず首を狙うのである。
 夜サボテンの樹上にて獲物が下を通るのを待ちぶせ、
通りがかった所にめがけ跳びかかり、
首に巻き付いて窒息死させてから丸呑みするのである。
 この時の姿が
まるでネクタイを首に巻いているように見えるので、
このように名付けられたようである。

 自分より大きな獲物を食べるように生きてきたために、
この種はその他の蛇に比べて肉体の弾力があり、
記録されている最大のものだと、
自分の倍の長さ3倍の太さの物を一度に飲み込んだとされている。
 このように大きな獲物を飲み込み素早く消化するために、
消化液の分泌も大変多いそうである。

 しかしこうして大きな獲物を食べているときは、
この蛇にとって最大の弱点でもある。
筋肉や皮膚は弾力があり伸びるのだけれど、
鱗は硬質で伸びないためその隙間を毒虫などに刺され、
あっけなく死んでしまうこともあるようである。
 また獲物を食べた時間が明け方近い場合には、
消化が間に合わず身動きできないまま干からびることもある。
 このような理由から残念なことに、
この蛇は極めて近い将来絶滅するとみられているのである。
 現在は動物園で人工的に繁殖を試みられているのだが、
確かめられている個体数は一桁に入ってしまった。
野生の者が数多く見つかればいいのだが、
可能性は極めて低い。

 かつてこの蛇は食用にもされていたそうだが、
今となってはもう口にすることができない幻の味である。
人工繁殖が奇跡的に上手く行って、
幻の味が再現されることを心から願うのである。

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この文章はフィクションです。
posted by 出雲一寸 at 10:31| フィクション、創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月19日

20120219詩「食べることが生きること1」

20120219詩「食べることが生きること1」

からすみってなんだろう?
ボラの卵巣だよ
どんな味するの?
食べたこと無いよ

珍味コーナーに売ってるけど
小遣いがなくて手が出ない

夢までに見るからすみ
一度でいいから食べてみたい
お許しが出るのなら
両手に一杯買いましょう
そして食べまくる飽きるまで

ーーーーー




タグ: 食べ物
posted by 出雲一寸 at 23:31| フィクション、創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月27日

20120127口伝144デカトロンカマキリ

20120127口伝144デカトロンカマキリ

この文章はフィクションです

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝144」

デカトロンカマキリ

 体長6cm程度のカマキリの一種。
運動能力か非常に高い上にその応用力も持ちあわせており、
食料を手に入れるために種々様々な方法を使うのである。
 確認されているだけで10種類程度の方法を使うため、
十種競技の選手に見立てられてこの名が付けられた。

 まず何よりも普通な手段は高速走行で、
一番使われる機会の多い狩りの手段である。
その他の手段を用いる時でも、
何よりもこの基本能力の高さが生きてくる重要な能力である。
 次に良く使われて観察されている方法は、
飛翔しての高高度急襲である。
この時このカマキリは太陽の方向をきちんと把握しており、
決して獲物に影を見せること無く背後から音を立てず、
滑空して襲いかかるのである。

 自ら積極的に獲物を取り行く方法は上記などがある、
他には獲物が近づいてくるのを待つのも常套手段である。
 まずは葉っぱなどへの擬態によって、
近づいてくる獲物を待つというポピュラーな方法。
これはハナカマキリなどその他のカマキリも多用する、
有効な狩りの方法で、
周りの環境によって体色も多少変化するそうである。
 次に自ら動きを止めてしまって死体に擬態する方法がある、
この方法の利点はなによりも自分の体ひとつで出来、
動かないためエネルギー消費が少ない所である。
しかし死体に擬態するためもちろん身動きすることは出来ず、
点滴である食虫性の鳥などにそのまま食われることも度々である。

 先に述べたよく使う方法の他に、
落ちている小枝を投擲する、
手頃な小石を投擲する、
高い木などから飛びかかる、
自らのカマを切り落とし餌にして釣りをする、
獲物のいる高い草をカマで切り倒して獲物を落とす、
何匹かで追い込み漁をする、
等々かなり高等な手段を用いて食料を得ようとするのである。
 しかしこれらの手段はその複雑さに対して効果は薄く、
獲物に逃げられることも多い。
この様に多様な手段を用いるようになったのは、
カマキリの中でもそれほど体が大きい種ではない為、
運動能力を活かす手段の数を向上させる方向に進化した様だが、
器用貧乏に陥ってしまった様に思える。
 ここで述べた方法では全くエネルギー収支が合わず、
運動能力の高さから来る代謝の高さゆえ、
餓死する個体も多いそうである。

 この様な理由からこの種は現在絶滅の危機に瀕している、
すでに知られている生息地は高いレベルの保護区に指定され、
新たに発見されて場合は厳重にその位置を秘匿される。
 しかし本当に重要な絶滅するであろう原因は、
この種の変化そのものにある。
どの手段をより多く使用するかの個体差がもともと高く、
エネルギー収支の悪い手段が得意な個体は、
どうしても先に数を減らして行ってしまうために、
この種の特徴である多様な食料獲得手段がなくなりつつある。

 しかしこれはこの種が自然にそうなっていくためであるため、
われわれがどうこう出来る問題でもないようである。
我々人間に出来ることは、
せめて今残っている多様な狩りの方法を記録として残す事と、
この種の生きる場所を減らさないことだと思われる。
 面白い生物がいるからといって大勢で押しかけて、
その場を荒らすようなことだけはしないように気を付けたい。
今は世界の映像が簡単に見られる時代である、
映像で我慢するのも自然への配慮かもしれないのである。

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この文章はフィクションです

posted by 出雲一寸 at 21:05| フィクション、創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月20日

20120120口伝143ヌオターレ・マンドルラ

20120120口伝143ヌオターレ・マンドルラ

この文章はフィクションです

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝143」

ヌオターレ・マンドルラ

 汽水域に生息する生き物で、
一応カエルの一種であるとされている。
ヌオターレは泳ぐ、
マンドルラはアーモンドの意で、
おたまじゃくしがローストしたアーモンドに色といい形といい、
あまりにもそっくりなのでこう呼ばれている。
後で述べるが今現在生物学的地質学的に非常にホットな生物で、
携わる人達は目を離すことが出来ない重要な生物である。

 主に河口付近に生息し周辺の藻などの植物質の餌を食べ、
成体になっても少し上流に移動するくらいで、
生涯生まれた場所の半径300m程度の範囲で過ごす。
この為孵化の季節になると、
大量のおたまじゃくしが狭い範囲に集まり、
子供でも簡単な網で大量に手に入れることができる。
 この様に季節が限られるけれども、
低い労力で簡単に手に入れることができるタンパク源として、
古くからおたまじゃくしが食用に供されてきたのである。

 古くから生息地では人と馴染みの深いこの生物だが、
先に述べたように学術的に非常にホットな状況にある。
なぜそのような状況かというと、
この生物は成体であるカエル状になっても、
すべての個体の尻尾が消えずそのまま生涯を終えるのである。
これは魚類であった頃の名残であろうされている。
 この生物に注目が集まって、
周辺の地質調査をしてみたところ、
両生類が登場したとされている年代以前の地層から、
この生物に酷似した化石が出土した。
そのためシーラカンスなどと同じように生きた化石として、
より一層の注目を集めることとなったのである。

 このように進化の過程が生きたままそこにいるような生物が、
なんの影響も世間に与えないわけがなく、
国際的な保護動物や生きた遺産として登録する運動が始まった。
しかし古来より食用としての利用をしてきた生息地の人達との、
食文化保存の視点からの調整が難航し、
現在は足踏み状態にあるそうである。
 生息地の人達の意見としてはこうである。
いつごろからか誰もわからないほどの昔から、
ずっと人に食べられ続けていたにもかかわらず、
全く絶滅せずに安定した状態を続けているのだから、
今の食用としての利用状態を続けるべきだという意見が多い。
生息地への人の出入りを止めると、
野生動物にほろぼされるのではないだろうか?
ということである。

 こうして自分たちの食文化を守りながらも、
次の策をきちんと講じている所が、
この生息地の人達の賢い所である。
 保護活動などの噂が立ち始めてすぐに、
採卵し養殖を初めてすでに安定した繁殖技術を確立している。
さらに、
今でも食べられる生きた化石として、
天然物は高級食材としてビジネスに発展させているのである。

 長年食べ続けられているこの生物、
もちろん私も食べてみた。
 昔から食べられている調理法としては、
オリーブオイルと塩に漬け込んだオイル漬けや、
さっとボイルしてトマトソースと合わせたものがある。
どちらも磯の香りがする身の硬い小魚料理といった感じである。
 最近は日本の佃煮の製法も取り入れているようで、
調理のバリエーションは幅広くなりつつあるそうだ。
もちろんこちらも食べてみた、
日本で食べた海苔の佃煮とじゃこの佃煮を合わせた感じの、
白いご飯がいくらでも食べられそうな味だった。

 この美味しくも貴重な生物が滅んでしまわないように、
あまり食べ過ぎないように気を付けたいものである。

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2012年01月19日

20120119ORKの口伝142マガ・ガストロポダ

20120119ORKの口伝142マガ・ガストロポダ

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝142」

マガ・ガストロポダ

 温帯から亜寒帯までに分布する多年生植物である。
草丈20〜40cmで日向日陰を問わず生え、
草原から林の中まで広く生育する事ができる。
葉は基本的に立って伸びるが、
気温が摂氏10度以下になり始めるとロゼッタ型に展開する。

 花は春先に咲き始め初夏までと長い期間咲き、
深く暗い紫色から黒色の立体的な入り組んだ花形をしている。
 この花の厄介なところはその匂いにあり、
化膿した傷に絆創膏を貼って3日くらい放置して蒸れたような、
大変ひどく強い悪臭を放つのである。
しかしこの臭いにはきちんとした理由があるのであり、
その理由とは受粉の為である。
この腐肉に近い悪臭を放ちハエを呼び寄せ、
受粉させる虫媒花である。

 この花の色と立体的で入り組んだ形、
そして腐肉のようなひどい臭いによって、
古くから魔女の女性器に見立てられてこの名前が付けられた。
マガとは魔女、
ガストロポダとは法螺貝のことである。
 この様にあまりいい印象を持たれていないこの植物は、
一部の厳格な国では持ち込み及び栽培禁止である。
もちろん野生に勝手に生えている国もあるのだろうが、
さすがに探して絶滅を図るところまではしていないようである。
 中世の魔女狩りが盛んだった頃には、
この花が庭に偶然であったとしても生えていることで、
魔女である証拠とされた不幸な歴史もある。
誰も好き好んで魔女と認定される証拠を植えることもないはずだ、
しかしこの花は風で種を飛ばしてしまうため、
この様な不幸な事故が度々起こってしまったそうである。

 このようにどうにも怪しい印象のこの植物は、
その怪しさからやっぱり怪しく利用されていたそうだ。
自生する地域では古くからこの花を乾燥させた粉末が、
媚薬として利用されているのである。
 現在は科学的に成分を分析されて、
男女ともに性的な興奮をうながしたり、
肉体的な反応を強化するようなものは検出されていない。
 その臭いを嗅いでもとの花の形を思い出し、
そこからさらに連想を掻き立てられることによって、
性的に興奮しているのではないかと考察されている。
 最近ではこの花の臭い成分を抽出し、
香水に利用している人達もいるそうである。

 そしてなにより面白いところは、
文化や生活様式が全く異なっているにもかかわらず、
この植物が生えている地域には必ず、
媚薬としての利用法が古くから伝わっているところである。
 世界の人口が増え続けるのも当たり前なのである。

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2012年01月17日

20120117ORKの口伝141「シルコバ」

20120117ORKの口伝141「シルコバ」

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝141」

シルコバ

 熱帯性常緑低木の一種で、
現地名は「ホワワ・ムニャ・ユルネム」と呼ばれている。
鬱蒼と茂るジャングルの中でも、
ほんの少しの陽の光で生き延びることができる種で、
気温が合えば大体どこにでも生えることができるようである。

 この植物の葉からは、
精神疾患治療薬として使われる成分が抽出出来るため、
現在は世界の広い場所で計画的に栽培されている。
 特に熱帯地方のジャングルを伐採せずに、
大木の根元でも栽培できるところから、
熱帯地方の産業として注目されるところである。

 この植物から取れる成分は「ユルマッタリノール」と呼ばれ、
その効能は精神と肉体を弛緩させ、
強いリラックス状態にさせるのである。
肉体と精神が強い緊張状態に陥るタイプの疾患には、
大変顕著な効果を発する薬品であるそうだ。
 この薬を処方するときは0.1mgを一単位として、
一日の使用限度は5単位までと厳しく制限されている。
それを超えて常用すると依存症状が現れ、
そのうち弛緩作用のせいで無気力状態に陥ることもある、
諸刃の剣とも言える薬である。
 しかし大体薬というものは、
何がしかの副作用を持っているものであるため、
使い方を謝らなければ問題は無いと思われる。

 この作用と使い方によって現れる依存性から、
医療用以外の製品にリラクゼーション機能目的で入れるにも、
厳しい使用量制限が課せられる。
 しかしそのような気分を落ち着ける物があるとわかれば、
非合法なビジネスが現れるのは世の常なのであろうか、
一時期麻薬の一つとして流通し始めたこともあったようである。
だが広く普及することは出来なかった。
 何故普及しなかったのであろうか?
答えはこの薬の成分である「ユルマッタリノール」が持つ、
極めて強い芳香に原因があるのでる。
その強い香りが邪魔をして、
麻薬取締犬の嗅覚から逃げることが全く出来ず、
全て検疫や税関などの他国への侵入経路で押収されてしまい、
ビジネスとして割りに合わなかったからだそうである。
 こうして世界に広まることのなかったこの薬、
そしてその原因となった強い香りは、
日本の甘味であるお汁粉と酷似しているため、
この様な名前で呼ばれることとなったのだそうである。
その為大麻などが合法である国では、
おしることは甘味の方ではなくこの薬を指すことになる。

 さてこのシルコバだが、
葉っぱそのものではこの様な香りがすることはない。
葉っぱをムシって手のひらでポンと叩くと、
細胞が潰れて成分が染み出しほのかに甘い香りがただよい、
ささやかながらリラックス効果が期待できるのである。
 原産地では昔から狩りや労働の合間の気晴らしに使われ、
休憩時の楽しみの一つとしてありがたがられていたそうだ。
普段から使っていて依存症にならないのかと思ったが、
0.1mgを精製するのに必要な葉の量は1kgと大量で、
気晴らしに二三枚潰した所でなりようがないようである。
 体を痛める暑さと仕事の合間のリラックスには、
アルコールよりも簡単に手に入るこの葉っぱは、
大変ありがたい自然の恵みなのであろうなと思う。

 私も現地に足を運びこの葉っぱを試してみた、
大変穏やかな気持になり心地よい眠気に襲われた。
ジャングルの中でこれを試すのは危険そうだなと思い、
ガイドに聞いてみたところ、
迂闊な者はやはりそのまま眠ってしまい、
獣に襲われて命を落すことが昔からままあったそうである。
家まで帰るか複数人で交代しながら使うのが普通だそうだ。
 自然の中でリラックスするのは命がけのようで、
リラックスの考えからは程遠く思われる。

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posted by 出雲一寸 at 16:07| フィクション、創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月15日

20120115ORKの口伝140「スリーパーハウンド」

20120115ORKの口伝140「スリーパーハウンド」

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝140」

スリーパーハウンド

 体長180cmにもなる大型犬の一種。
かつては長毛種のみであったが、
ペットとしての需要が高まるに連れて、
世界のあらゆる気候でも飼いやすいように、
複数の毛並みの種が開発され多様な国で愛されているのである。
 この犬種が開発された主な目的は狩猟犬としてであり、
特に大型の獣を狩るために育種されたため、
主人に忠実で大変勇敢な性質の持ち主である。

 狩猟における犬の役割は、
獲物の追跡・包囲・追い込み・ポイントなどであるが、
この犬種は直接戦闘が主な役割である。
相手がどれほど大型の獣であったとしても、
主人が銃を使う前に開いての動きを止めることができる、
極めて優れた能力を持つように育生された犬種である。
 その獲物の動きを止める優れた能力とは、
実は牙や爪などではない。
その他の猟犬にはない優れた能力とは、
その前足の脇の下から任意に出すことができる強烈な臭いである。
前足脇の下で獲物の顔及び鼻先を抱え込むようにして、
そこにある臭腺から臭いを放ち失神させるのである。
 その時の格好が、
脇の下で顔を締めるタイプのスリーパーホールドににているのが、
名前の由来だそうである。
 この臭いは熊ですら一撃で失神させるほどであるため、
熊より嗅覚の劣る人間であっても、
かなりの苦痛をともなう。
そのため狩猟だけでなく番犬としても実に有用な犬種である。

 この犬種の最大の特徴で武器であるこの臭いだが、
ペットとして飼うにはあまり歓迎されないようだ。
もともと愛玩用として育種されたわけではないため、
狭い室内や込み入った住宅地などには向いていないのだろう。
 狩猟を趣味とすることのできる裕福な広い家なら、
この犬専用の場所を確保することで、
臭いの問題は解決することができるだろう。
または家と家の距離が広い田舎などのほうが、
この犬にとってはありがたい環境であると思われる。
 犬を家族として大切に想うならば、
相手が馴染めない環境に迎え入れるのは、
お互いに苦しむ事になるのではないだろうか。

 忠実で勇敢な性質のこの犬種はそれでも人気があり、
最近では脇の下の臭腺を外科的に除去した者を、
ペットショップに依頼して飼い始めることもできるそうである。
 しかしこの手術を施した者は、
臭腺から体内の分泌されるホルモンが欠落しているため、
体長を崩しやすいのがかわいそうな所である。
幸い餌から取り入れることが出来るので、
その専用の餌を忘れないように気をつけることで、
体長の悪化は防げる。
 だがたとえこの様な手段で防げるにしたとしても、
相手の体をいじってまで自分のそばに置いておこうとするのは、
いかがなものかと思うのである。

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posted by 出雲一寸 at 12:55| フィクション、創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月05日

20120105ORKの口伝139

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝139」

スナナ

 一年生の野菜の一種である。
もともと比較的温暖な地域に自生していた植物を、
食糧として改良を重ねている途中で出来上がった突然変異種で、
原種とは違って寒冷地向けの野菜に育て上げる事ができた。

 この野菜の特徴は、
有機物の少ないやせ地でも良好な生育をすることで、
その生育の良さはほとんど雑草と変わらないくらいであり、
作るためには特に苦労を強いられることはないようである。
 しかしこの野菜には食料としては致命的な欠陥がある。
あまりにも繊維質が多く、
またその繊維の中にもナシの果実に含まれる石細胞があり、
それらが相まってまるで砂を噛んでいるような食感だそうである。

 そのまま食料とするにはあまりにも食べにくい野菜だが、
条件の悪い土地でも比較的安定した収量を得られるため、
栽培面積は決して少なくは無い。
少なくないどころか、
近年は増加傾向に向かっているそうである。
 野菜として食べるには美味しいとは言いがたいこの植物だが、
その食物繊維の豊富さとビタミン類の含有量の多さで、
栄養食品原料としての需要が高いためである。

 収穫したこの野菜から栄養分を搾り出し、
その残った絞り粕から食物繊維を取り出す。
それぞれビタミン剤や天然由来便秘薬の原料として、
いまや世界中に流通しているようである。

 とりあえず野菜として開発されたものであるから、
煮物として食べて見ることにしたのであるが・・・。
さすがにそのひどい食感のために、
調理したものを食べ切ることが出来なかったのである。
 煮物にしてあるのだから水分はたっぷりとあるはずなのに、
噛めば噛むほど口の中が乾いていくようなざらつきを覚え、
飲み込むのも一苦労であった。

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posted by 出雲一寸 at 10:35| フィクション、創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする