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2020年02月10日

読書録「それからの三国志上」ほか

読書録「それからの三国志上」3

著者 内田重久
出版 文芸社文庫

p76より引用
“ いかなる心境の変化であろうか。俗にい
う魔がさしたのであろうか。かつては聰明な
仁君であったはずの曹叡は、国防という緊張
が解けると、急速に脳が狂い出した。”

目次より抜粋引用
“丞相追想
 正始の声
 暁天の星
 司馬兄弟
 攻むるは守るなり”

 三国志末期を研究する著者による、三国時
代の終盤から次の時代への移り変わりの様子
を記した歴史物語。同社刊行作改題・修正に
分冊文庫版。
 五丈原の戦いから第六次北伐まで、流れる
時代を生きた人々の物語として描かれていま
す。

 上記の引用は、曹操の孫・曹叡についての
一節。
強敵・諸葛亮孔明が死亡し、国の仕事を司馬
懿仲達に任せた後の出来事。人はある程度の
ストレスがなければ駄目になると、耳にした
ことがありますが、歴史上の人物にも起こっ
ているようです。心に緊張を強いられるのは
苦しいものですが、それが無いと自分が死ん
でしまうのかもしれませんね。
 三国志のメジャーで面白い部分が、終わっ
た後のことを元に書かれているので、よほど
興味のあるひとでなければ、面白味は少ない
のではないでしょうか。文章もかなり固めな
印象を受けます。

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読書録「それからの三国志下」3

著者 内田重久
出版 文芸社文庫

p160より引用
“ 上古の時代、宗教的・氏族的結合によっ
て建国された夏・殷・周の時代では、のんび
りした倫理社会で、こうした人物の輩出する
余地は少なかった。しかし時代が春秋・戦国
のぎらぎらした人欲社会となってから権謀術
策の横行する濁世となり、毒薬・短剣・誣告・
裏切りが、それほど心理抵抗もなしに登場す
るようになる。”

目次より抜粋引用
“孤影の人々
 討蜀大軍団発進
 終戦の詔勅
 壮心止まず
 残映暮色”

 三国志末期を研究する著者による、三国時
代の終盤から次の時代への移り変わりの様子
を描いた歴史物語。同社刊行作改題・修正に
分冊文庫版。
 蜀軍部と内政官の軋轢から三国の滅亡まで、
終わりゆく一つの時代を生きた人々の物語と
して書かれています。

 上記の引用は、望まずスパイになることを
決意した姜維について書かれた項での一節。
スパイのことなど考えずに、呑気に生きられ
る世の中が、幸せな世の中なんでしょうね。
そんな時代なんて一度でも本当にあったので
しょうか?
 物語としていまいちワクワクとしないので
すが、三国時代の初期とそれほど変わること
なく、しっちゃかめっちゃかした感じが、最
後まで続いたようです。人の歴史には、落ち
着いた時期というのが、あまりにも少ないの
ではないでしょうか。落ち着いたら落ち着い
たで、退屈を感じてしまうのかもしれません
が、退屈なくらいがありがたいものなのかも
しれません。

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読書録「バチカン奇跡調査官天使と堕天使の
交差点」3

著者 藤木稟
出版 角川ホラー文庫

p129より引用
“「それはね、自分と違う異質なものを分か
ろうとすること。分かろうとし続けること。
それこそが大切だと思うからさ。”

目次より抜粋引用
“ベアトリーチェの踊り場
 素敵な上司のお祝いに
 マスカレード
 シン博士とカルマの物語”

 天才神父二人組みを主人公とした、連作ミ
ステリ小説短編集。人気シリーズ第15弾。
 仕事場にて、いつものように古文書とにら
めっこをしていた主人公・ロベルト。急な上
司からの呼び出しに会議室へ向かうと、上司
だけでなく警察官も待っており…。(ベアト
リーチェの踊り場)

 上記の引用は、人間同士が分かりあうとい
うことに関する、主人公の一人・ロベルトの
考え。分かり合うことは無理で、そのこと自
体は大切ではない、と言った後の台詞。お互
いにそう思っている相手とならば、こういう
考えで接していてもいいのでしょうが…。分
かろうとする人の気持ちに付け込もうとする
ような人もいるでしょうから、気を付けたい
ものです。
 シリーズを通して出てくる主人公たちの敵
役や、脇を固めるサポート役たちの人物像が
より深く見られる短編。特にシン博士につい
ては、初登場時と比べると随分印象が変化し
ているように思います。
シリーズでも重要であろう人物の、ローレン
についてのエピソードは今巻には無し。独房
の探偵だけで、スピンオフしてもおかしくな
いと思っているのですが…。

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posted by 出雲一寸 at 16:24| 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする