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2019年07月27日

読書録「動人物、動物の中に人間がいる」

読書録「動人物、動物の中に人間がいる」4

著者 日高敏隆
出版 講談社

p42より引用
“ 道で出会った人に対するあいさつや、訪
問先の玄関でまず交わされるほとんど意味の
ない会話、車が混んでいてたいへんだったで
しょう、何時間ぐらいかかりました?などとい
う、もうちゃんと着いて目の前にいる人に対
してはほとんど無用と思われるやりとりなど、
すべてグルーミング・トークである。二匹の
ネコが出会ったときと同じように、人間は言
語で互いにペロペロなめあっているのだ。”

目次より抜粋引用
“人間はどこまで人間か
 動物はどこまで考えているか
 生き残るために
 空間と時間における動物と人間
 動物たちの空間利用”

 動物学者である著者による、色んな媒体に
書いた人と動物に関する文章をまとめた一冊。
他社刊行作、改題再編集文庫版。
 人の求愛行動についてから環境と人と動物
の関係についてまで、穏やかに時に辛辣な言
葉で綴られています。

 上記の引用は、人のグルーミングについて
書かれた項での一節。
においや直接の触れ合いがなくとも、言葉で
グルーミングが成立するという下地があるが
ゆえに、どんなに離れていても言葉が届く通
信環境が発達し、より高速なネット環境と技
術が普及したのは、必然だったのかもしれま
せんね。
 著者のエッセイ「春の数えかた」などに比
べると、少し硬い印象を受けます。
元の書籍の初版が1990年ですので、情報も変
化しているのでしょうが、動物と人間との関
係が静かに語られる文章は、気持ちにしみ込
むような感覚を覚えます。私が著者のファン
だからかもしれませんが。

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posted by 出雲一寸 at 08:54| 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする