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2015年02月23日

読書録「インシテミル」「紳士の言い逃れ」

読書録「インシテミル」3

著者 米沢穂信
出版 文藝春秋

p204より引用
“それは軽蔑だった。結城は、<暗鬼館>に、こ
の七日間の<実験>に、限りない軽蔑を感じてい
る自分に気がついた。”

 どこにでもいるような大学生を主人公とし
た、ミステリー長編小説。
 車を手に入れて、楽しいキャンパスライフを
送りたく思っていた、主人公・結城理久彦。
コンビニで手軽に稼げるバイトは無いかと、
情報誌をめくっていたところ…。

 上記の引用は、物語の舞台と状況についての
主人公の心情。
人文科学実験の被験者になった主人公たちです
が、楽して手軽に稼ごうと思って、美味しい話
に飛びついているのですから、お互い様なので
はないでしょうか。
 人文・社会科学実験をテーマにしたもので
は、確か映画の「IF」というものがあったよう
に記憶しています。科学的な知見を深めるため
には、実験が必要なのでしょうけれども、過ぎ
た好奇心は大きな犠牲を時には払うことになる
ものなのかもしれませんね。
 後味が良くないというか、すっきりしないと
いうか、はっきりしないというか、そんな感じ
の終わり方です。

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読書録「紳士の言い逃れ」3

著者 土屋賢二
出版 文藝春秋

p133より引用
“先日、新聞や週刊誌で面白いと賞賛されて
いたミステリを読んだ。だが、好みが合わない
のか、面白いと思えず、半分読んだところで
読むのをやめてしまった。”

目次より抜粋引用
“空白の時間
 年を取ってからの思考法
 もう一人の自分
 とんでもない世界観
 洗練された悪口”

 哲学者である著者による、著者の日常にあふ
れるごくありふれた出来事を考察したエッセイ
集。
 偶然に出来る空き時間の過ごし方についてか
ら日食についてまで、知的で皮肉に記されてい
ます。

 上記の引用は、評価は役に立つかと題された
項での一節。
人の意識は共通性を求め、個性は体に宿ると
は、養老氏の本で書かれていたように思いま
す。何か物事に対する評価がいつでも一定で無
いところを見ると、人は頭ではなく体全体で
いろんなことに判断を下しているのかもしれな
いなと、思えてきます。
ひょっとすると、客観的な評価というものは、
機械にしか出来ないのかもしれませんね。
 今巻は著者自筆のイラストが少ないので、
寂しくもあります。見なくて清々すると言う人
もいるでしょうが。

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posted by 出雲一寸 at 14:02| 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする