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2012年03月18日

20120317口伝147モナークヨーン

20120317口伝147モナークヨーン

この文章はフィクションです

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝147」

モナークヨーン

 大変大ぶりな花を咲かせるユリ科の園芸植物である。
花弁が全て一体となっているタイプの花で、
他のユリのように花弁に切り込みが入っていくことはなく、
基本的には朝顔のような形を思い浮かべれば分かりやすい。
もちろん改良された品種は花弁の形も様々で、
よく知るユリの花形のものも多数存在するのである。
 確認されている記録としては、
花の直径が30cmを超えたものもあり、
咲き誇る様子の迫力などからこの名が付けられたそうである。

 この花の特徴は先に述べたように、
何よりもその威風堂々たる花の大きさにある。
そしてどのような他の花も寄せ付けないような、
豪華絢爛な花の色もこの花の持ち味である。
 どっしりと大きく構えた花に華やかな色合い、
まさに君主の名にふさわしい植物だと言えるのではないだろうか。

 その華やかさから園芸品種としても大変人気で、
庭に植えてもよし鉢に植えてもよし、
草勢も強く育てるだけならば特に難しくない所も人気である。
 園芸品種として登録されている数は105種、
比較的新しい植物なのでまだまだこれから楽しみな植物で、
花色と花型のバリエーションがどんどん開発されている所である。
ただし市場商品として出回るものは切花だけである。

 しかし何事も全てうまく行くわけではないもので、
この植物にはなんとも難儀な特色もあるのである。
 まず一つ育種家泣かせの特徴として、
自家受粉しないというところである。
せっかく新しい色や形が表れたとしても、
次の世代にとっておいた種からは、
未だに一度も同じ物が出来た記録がないのである。
 ならば栄養繁殖はどうだろうか?
当然植物栽培に関わる人ならば考えることだと思う。
しかし残念なことにこの選択肢も良い結果を得ることは出来ない、
出来た記録はない。
ユリ科なのだから当然百合根が形成されるのだが、
どうしても全く同じものが出来ないのである。
茎を挿し木しても結果は同じであったそうだ。

 どうしてこの様な現象が起きるのだろうかと、
詳しく調査がされたところ、
土の極めて微妙な成分変化が花の形成に影響を与えるようだ。
 この為園芸品種として出回っているものは、
完全管理された水耕栽培によって品種を保っているそうである。
ただそれでもある一定の量は失敗が出るらしく、
栽培に関してはギャンブル性の高い植物だといえる。

 さらにギャンブル性を高めている特徴として、
今現在白色系の花が皆無であるという所である。
もし白に近い色や純白のこの花が開発されたならば、
想像を絶する収益がもたらされるのは自明なので、
育種家にとって大変ホットな植物である。

 しかし園芸を楽しむ目的からすれば手軽で、
一度植えてしまえば勝手に毎年違う形の花が咲き、
おまけに色まで毎年違うのだから、
気楽に眺めて楽しめる人には人気である。
 どうしようもない事に対しては、
眺めて楽しむくらいの気持ちで望むのも、
良いものかも知れないのである

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この文章はフィクションです
posted by 出雲一寸 at 00:17| フィクション、創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする