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2012年02月25日

20120225口伝145「コミロン・コルバータ」

20120225口伝145「コミロン・コルバータ」

この文章はフィクションです

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「オレヴァホ・ラフ・クノダイスキーの口伝145」

コミロン・コルバータ

 メキシコにのみ生息する、
体長1m前後の中型の蛇の一種である。
体の表面の鱗がその他の蛇に比べてかなり硬度が高く、
サボテンの刺も気にせずに巻き付くことが出来、
樹上にいることが多いのである。
 体色は砂漠で目立たないようにカモフラージュされているが、
サボテンに登るときは夜間だけなので問題ないようである。

 この蛇の特色は獲物を狩る時に現れる、
自分と同等以上の大きさの哺乳類だけを狙い、
狙うのは必ず首を狙うのである。
 夜サボテンの樹上にて獲物が下を通るのを待ちぶせ、
通りがかった所にめがけ跳びかかり、
首に巻き付いて窒息死させてから丸呑みするのである。
 この時の姿が
まるでネクタイを首に巻いているように見えるので、
このように名付けられたようである。

 自分より大きな獲物を食べるように生きてきたために、
この種はその他の蛇に比べて肉体の弾力があり、
記録されている最大のものだと、
自分の倍の長さ3倍の太さの物を一度に飲み込んだとされている。
 このように大きな獲物を飲み込み素早く消化するために、
消化液の分泌も大変多いそうである。

 しかしこうして大きな獲物を食べているときは、
この蛇にとって最大の弱点でもある。
筋肉や皮膚は弾力があり伸びるのだけれど、
鱗は硬質で伸びないためその隙間を毒虫などに刺され、
あっけなく死んでしまうこともあるようである。
 また獲物を食べた時間が明け方近い場合には、
消化が間に合わず身動きできないまま干からびることもある。
 このような理由から残念なことに、
この蛇は極めて近い将来絶滅するとみられているのである。
 現在は動物園で人工的に繁殖を試みられているのだが、
確かめられている個体数は一桁に入ってしまった。
野生の者が数多く見つかればいいのだが、
可能性は極めて低い。

 かつてこの蛇は食用にもされていたそうだが、
今となってはもう口にすることができない幻の味である。
人工繁殖が奇跡的に上手く行って、
幻の味が再現されることを心から願うのである。

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この文章はフィクションです。
posted by 出雲一寸 at 10:31| フィクション、創作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする